私がベトナムの大学で働いている時に、ある日本の先生との出会いがあったのですが、その先生が京都工芸繊維大学の教授で、今の私の指導教員の方です。その時、先生の研究に関する発表を聞く機会があり、研究分野は自分にとっては完全に専門外でしたが、そのテーマがとても面白く、もっと知りたいと思ったのです。先生と連絡をとり、京都に留学することに決めました。京都は文化的なまちですが、学術的にも評価が高い。それもあって、留学先として京都を選びました。

京都工芸繊維大学の大学院で、MRIや超音波検査（エコー）画像などの医用画像をもとにしたコンピューターを使った病気や異常についての診断について研究しています。医療の現場で、臨床的な決定を専門家達が自信をもって行えるように支援することを目指し、研究を進めています。

京都に来る前、「京都」についてよく知ろうと思い、調べたところ、「古都」ということがわかりました。いくつか映画も見て、京都には昔から残る古い建物があって、芸者や忍び（忍者）、サムライに会えるようなイメージを持ちました。さらに、インターネットで調べてみたところ、もっと現代的な京都についても知ることができました。

京都に実際に来てみて思うのは、このまちは私の予想を超えていたということです。京都には確かに古い建物がありますが、それだけではなく、新しい現代的なビルもたくさんあります。祇園では通りを歩く舞妓さんと会えましたが、忍者やサムライには会えていません（笑）。この古都での生活は、伝統的なものと現代的なものがまざり合っていて、おもしろいと思います。

日本語のことや文化の違いについて、心配していました。日本語は難しいですが、日本の文化の中で生活するには、日本語を勉強することは大切だと感じます。また、日本では、個人のプライバシーや、親しい人とそうでない人とのコミュニケーション、マナーについて、とても大切にしています。そのため、日本でやっていいこと・ダメなことを知るため、留学前にマナーや文化、ルールについてよく調べてみました。

そうですね、京都の文化や教育環境、自然環境が素晴らしいと思います。1000年も前からあるお寺や神社、茶道・書道・着物などの伝統文化など、京都には長く受け継がれてきた文化があります。今後もずっとこれらのかけがえのないものを守っていってほしいと思います。

そして、教育環境についてですが、京都にはたくさんの大学があり、素晴らしいと思います。ノーベル賞やその他の学術賞の受賞者の中に、京都に関係する研究者がたくさんいることも驚きでした。

京都を取り囲む自然も、季節によって変わるので、本当に美しいです。春の桜、秋の紅葉、冬の雪景色。人生で初めての経験で、忘れられない思い出です。

日本に来た留学生は、まず色々な登録や申請のための書類を作る必要があります。たくさんの通知や書類が郵送されてくるのですが、１つ１つが一体何の書類なのか理解するのにすごく時間がかかりました。また、大学院では、自分にとって新しい分野での研究だったので、最初はとても大変でしたね。でも、担当教授がサポートしてくださったので、研究を進めるうえでの困難なことは、乗り越えられました。京都には専門的な研究環境があり、学問的なネットワークだけでなく、企業などとの協力体制も整っているので、素晴らしいと思います。

京都での日常生活については、バスを利用するのが大変でしたね。バスの行き先などが漢字で書かれているのでわからなくて、間違ったバスに乗ってしまったことが何度もあります。でも、京都での生活が長くなって慣れてくると、システムがわかってくるので、あまり心配しなくても大丈夫です！

日本に来る前、何か月か日本語を勉強しましたが、カタカナはまだちょっと難しいです。ユニクロなどのお店に行ったとき、商品につけられたタグの解読がなかなか大変です（笑）。私の大学にはチューター制度があり、留学生１人１人に対し、日本人学生がついてサポートしてくれます。新しく到着したばかりの留学生にとって、役所の書類の手伝いや、新しい生活環境になれるためのサポートなどは、本当にありがたいです。あと、すでに先に卒業した何人かのクラスメイトともまだ連絡を取り合っていて、英語や日本語で話す機会、日本についてもっと知る機会を持っています。文化の違いを克服できたのは、（上記のような）充実したサポート体制と、多様な文化に理解の深い周囲の環境のおかげだと思います。

京都は、学術的な専門知識を深められる場所であり、同時に、その土地の文化や食べ物、新しい雰囲気を楽しめる。そういうところが素晴らしいと思います。季節によって変わる旬の食べ物も、楽しみの１つですね。この2年間、納豆が食べられなかったのですが、最近再度トライしてみたら、好きになりました（笑）。

将来、自分の経験を活かした仕事ができればと思っています。自分より若い世代の人達、特に海外で勉強したいと思っている学生たちに、この経験を伝えられたらいいですね。私は京都留学という名の旅を通して、「訪れる場所すべてに、そして、出会う人すべてから、何かしら学ぶものがある」ということに気づかされました。

日本で出会ったら友人たちと、これからも定期的に何か一緒にできればと思っています。そして、今後もベトナムと日本の交換プログラムについての留学フェアがあれば、ぜひ参加したいです。

最後に、ベトナムの若い世代の人達の刺激になれればうれしいです。特に、都市部ではない地方に住む学生たちが留学を目指して頑張るきっかけになれれば。国には国境がありますが、自分が思い描く夢には国境はありませんから！広い世界を見ください。

「訪れる場所すべてに、そして、出会う人すべてから、何かしら学ぶものがある」

京都はより一層学びを楽しめる場所です。1000年もの歴史遺産が息づくこのまちには、評価が高い大学や、素晴らしい景色がたくさんあります。京都はみなさんを待っています。ぜひここに来て、自分の目で確かめてくださいね！