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STUDY KYOTO MAGAZINE

「故きを温ねて新しきを知る」留学生の清水焼窯元見学に密着!

変わり続ける文化のかたち

工房見学の後は、陶葊4代目当主の社長から留学生に向けて、焼き物文化と陶葊についてのお話をしていただきました。

最も印象的だったのは、「変化をし続けてきた焼き物」のお話。

「新しく入って来たものをアレンジする」という日本文化の特徴と同様に、1万6千年前に日本で生まれた後、中国などの様々な文化や人の影響を受けて変化し続けてきたのが焼物の大きな特徴であり、京都の地で焼き物が発展した理由も、この特徴にあるのだそう。

今から400年前の茶道が流行した頃、茶道に用いる器を作るため、都のある京都に日本のみならず世界中から、たくさんの人と技術が集まって来たことで京都の焼物文化が生まれたということを教えていただきました。

日本にある他の焼き物の産地では、それぞれの土地ごとに特徴がある一方で、京都では窯元ごとに異なるものが作られています。これも「新しい人と技術が集まる都」だからこそ。
陶葊も、元々は鬼瓦を作っていたのが、時代によるニーズの変化から、食器を中心とした京焼・清水焼へと変化してきたそうです。

「今でも美しい色を求めて、金属や温度の調節によって色を出すテストを繰り返している」、と職人さんが見せてくれた陶器のかけらから、試行錯誤しながら時代とともに変化し続ける文化のかたちが見えたような気がします。

また、今年からは販売スタッフとして中国人の方が入社し、外国人観光客への販売にも力を入れているそう。新たな挑戦が文化を発展させ、さらに次の世代へ継承されているのだと実感しました。

変わるものと変わらないもの

変化の中で今日までつながれて来た京焼・清水焼ですが、変わっていくものの軸にある、変わることのない確かなもの、それが大きな魅力であり文化の持つ価値でもあります。

土渕社長のお話の後、留学生からの
「機械化が進む時代ですが、これから作品づくりに機械を取り入れる予定はありますか?」
という質問に、
「職人の技は数値化できないもの。器ひとつにも、厚さや性質、様々な個性があるから、機械化は難しいですね」
と答えられた土渕社長。

機械による大量生産ができてしまうこの時代に、陶葊は「機械には真似できない“職人の手仕事”という技術を取り入れる」ことで作品を確立しているというお話がとても印象に残りました。

ツアー終了後の留学生の感想では、
「陶器について、見学するまでよく知らなかったが、一つひとつ手作りする職人さんの技を見て感動した」という声のほかに、「とても貴重な経験ができた、焼物文化に興味が湧いた」という声も多くありました。

世界にルーツを持ち、変化を続ける京焼・清水焼。
世界にルーツを持ち、新しい世界を学び続ける留学生。

遠く離れていたようで、意外な共通点をもっていた留学生と京焼・清水焼が出会ったこのツアーにこそ、伝統文化のこれからを考えるヒントがぎっしり詰まっていると感じました。

故きを温ねて新しきを知る。

この言葉には、昔のことを学ぶことで、そこから新しい知識や見解を得る、という意味があります。
「故き」の詰まった京都だから学べること、考えること、未来のためにできることはまだまだたくさんあるはず。

楽しい学生生活を送りながらも、「自分を変えたい」、「成長したい」、「新しいことを始めてみたい」といった想いを抱えて模索している人は多いのではないでしょうか。
そんな時こそ、京都に根付く「故き」文化に一度身を委ねてみるのもいいかもしれませんね。

(文:同志社女子大学 表象文化学部 西山萌花)
(写真:立命館大学  産業社会学部 木村天音)

原文:コトカレ

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