私が担当する商品を、友人や家族が中国で買っているところを想像するとやりがいを感じます
月桂冠株式会社
金 亦衛(キン エキエイ) (中国 出身)
出身学校:京都情報大学院大学( 2019年度のStudy Kyotoインターンシッププログラム参加)
※2022年取材
日本に、中でも京都に留学を決めた理由は何ですか?
高校生の時に日本に旅行に来て、東京と京都に行き、日本の文化に惹かれていきました。中国の大学時代に東京の日本語学校で半年間短期留学して、その時に日本語を勉強しました。日本は勉強する環境がとても整っているという印象を受けましたので、大学卒業後はぜひ日本で学びたいと強く思うようになり、上海の大学と提携関係にあった京都の大学院に進学しました。地元・上海も東京も、大都市でよく似ているため、何か大きく違う場所を体験してみたかったのです。
学生時代の印象に残っている思い出は?
何よりも驚いたのは、京都の外国人観光客の多さですね!(笑)バスに乗れないくらいの時もありました。最近は(コロナ禍なので)町はかなり静かになりましたが。コロナ禍の前と後の京都での暮らしは、全然違うもののように感じます。実は、(京都での暮らしは)東京に比べるとかなり静かな暮らしになると思っていました。
通っていた大学院は中国人学生ばかりで、日本人の学生は周りにほとんどいませんでした。京都まで留学しに来るからには、日本生活をもっと体験したく、色々なボランティア活動に参加しました。例えば京都マラソンのボランティア、キャンパスプラザ京都にある「学生Place+」の学生ボランティアなどや、また、趣味の卓球やバドミントンなどを通しても友達ができました。今も機会があればボランティア活動をしていて、今年の東京オリンピックのMPC(メインプレスセンター)でのボランティアに参加しました!
今の仕事はどうやって見つけましたか?
正直なところ、大学院を卒業した後も日本で進学したいと思っていました。周りの9割以上の学生が卒業後母国に戻る予定の中、私は日本生活を続けたいと思っていました。
そのような状況の中、修士課程の1年目、キャンパスプラザ京都で留学生向けの有給インターンシッププログラムに関する広告を目にしたのです。ちょうど同じ頃、留学生向けのホームステイイベントにも興味を持っていたのですが、結局それはやめてインターンシップを選びました。ここで参加した月桂冠のインターンシップを通して、初めて、日本で働きたい、この会社で働きたいと思ったのです。
インターンシップでは店頭調査や物流倉庫、関西空港免税売店訪問などのプログラムがあり、そこで初めて日本酒業界に触れました。インターンシップに参加する前には、どんな世界なのか想像すらつきませんでした。
インターンシップでの体験について教えてください。
インターンシップの受け入れ先は貿易部で、外国人としての視点を活かした企画を考えるという課題を与えられました。インターンシップ期間の最後には、営業本部長や貿易部課長に対して、自分が立案した中国市場の企画プレゼンの機会があり、学生たった一人で行うというものでしたので、今振り返ると恐ろしいなと思います(笑)。また、社員の皆さんは家族のように接してくださり、温かみを感じました。
月桂冠では、中国語圏市場に注力しているということもあり、留学生の国際的な視点を得るために、このインターンシッププログラムを毎年実施しています。他社の留学生向けインターンシップは事務作業ベースの仕事体験が多い一方、月桂冠では社内で実際に行っているマーケティングの仕事を経験でき、実践的な考え方を学ぶことができました。初めの一週間は日本酒市場と会社について知識をつけ、二週目には前週までに学んだ内容をもとにレポートを作成し、最終日にプレゼンテーションを行います。
どのように就職活動をしましたか?やりたい仕事は常にイメージしていましたか?
インターンシップのあと、月桂冠で働きたいと思いました。ただ当時は選考がどのように進むのかも分からず、とにかく色々な会社の就職説明会に参加していました。もちろん月桂冠の説明会には全て参加しましたよ!月桂冠こそが働きたい場所だったので、そこを目指して頑張りました。
日本では卒業の1年前から就職活動を始める習慣がありますが、私は遅れをとっていて、4月から6月は毎日エントリーシートを書くなど大変でした。日本酒業界は、インターンシップの経験がとても役立って、働くことがどのようなものか明確にイメージできていました。
現在の業務内容と、そのやりがいを教えてください。
月桂冠本社(京都・伏見)の貿易部で働いています。海外市場でのセールス担当です。私は中国の上海出身ということもあり、中国市場、特に子会社である上海月桂冠を担当しています。また、中国市場向けのEコマースの関連業務も任されています。
現在、中国で売っている月桂冠商品の約95%が、私が担当する商品なので、私の友人や家族が中国で月桂冠の商品を買っているところを想像すると、やりがいを感じますね。
月桂冠での勤務を機に、プライベートでも日本酒を楽しむようになりました。中華料理などの食べ物との相性を試すことや日本酒の飲み比べが好きで、仕事にも活かせる部分があるのではと思っています。
日本で働き始めてから、日本の職場環境で驚いたことはありますか?
上司や同僚の皆さんが国際理解を持っていると感じるので、働きやすいですね。
仕事はコロナ禍で、リモートワークを多く経験しました。今でも、新型コロナの感染状況に応じて柔軟に在宅勤務を導入しています。貿易部門はフレックス勤務制も導入しているので、自身で仕事のコントロールができ、働きやすい環境にあります。
通常は、忘年会など職場の飲み会もあるそうですが、コロナ禍の影響もあってまだ参加したことがありません。
今後日本での就職を検討している留学生にメッセージをお願いします。
せっかく日本留学に来ているので、「百聞は一見に如かず」の精神で積極的に日本の生活や日本での就職も意識した体験をすることをオススメします。